2.羽関錬空

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 先週まで踏み台作りだった技術の授業は、今週から情報の分野になった。  情報技術室で各自パソコンと向かい合う。 教師の説明が終わったあと、練空はモニタとキーボードをにらんだ。 さかんに眼を細めたり顎をなでたりしながら、人差し指でキーを探す。 「半角全角」  振り向くと、隣の席の女子・松野千夏が彼のキーボードを指差していた。 「なに?」 「半角全角のキーを押してから、ハテナマークのキー。それでスラッシュが出るよ」 「半角全角を押して……それから?」 「ハテナマーク」  彼は盤面を手探りするようにしてやっとキーを見つけ、言われた通りにした。 モニタ上に表示された文字に、目を見開いて大仰に感心して見せる。 「さては天才か?」  彼女は眼をぱちくりさせた。 「羽関くん、勉強できるんでしょ? 信じられない」 「これだけはね、ほんと。えーと……?」  再びキーボードに視線を落とし、URLとやらを打ち込む難解な作業に戻った。 顔をしかめてつぶやく。
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