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にやりとし、ほかの部下に振り返る。
彼らも引きつった笑みを返した。
孫は続けた。
「実に美味かったぞ。裾分けした部下もみな満足した。礼を言わんとな」
狼星はスーツの男に向かって雷鳴のように叫んだ。
「兄貴! 貴様、自分の娘を……」
二度の銃声が店内を揺るがした。
孫は部下に狼星を立たせ、懐にリボンを押し込んだ。
「餞別だ。持っていけ」
血まみれの両手を下げて男たちに引きずられていく間、老人はうわ言のようにつぶやき続けていた。
「必ず殺す」と。
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