第八章 Okha(オハの街/大邸宅の惨劇)

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ゴー...... ワンワンワンッ! 雪山を優雅にすり抜けていく 4台のスノーモービル。 そして それを取り巻くようにして 元気に走り回る12匹のハスキー犬。 やがて眼下には 木々の間に見え隠れする 寂れた街並みが...... 「おい、アレク。あれがそうか?」 いち早く その存在に気付いたエマが 口から白い息を吐きながら 問い掛けた。 「ソウダ。あれが『オハ』の街ダ。そんな事ヨリモ......」 見る見るうちに近付いてくる 最終目的地を見下ろしながらも、 アレクは未だ興奮冷めやらない 表情を浮かべている。 そんなアレクの表情に 気付いたエマは、 「なに、どうした?」 怪訝な顔で 聞いてみる。 するとアレクは 雪煙を吐きながら 並走するスノーモービルを 順に見渡しながら、 疑問をぶつけてみた。 「一体どうやったラ、アンナ事が出来るようになるんだ? 未だに信じらン」 驚きの感情に 呆れが加わったような 実に複雑な表情だ。 「ああ、このスノーモービルを奪った話か......いや、別に大した事じゃ無い。 奴らは、こっちが犬ぞりで走ってるのを見て、簡単に勝てると思ったんだろう。隙だらけだったわ。 文明の力とは言え、こんな物は戦いに使える代物じゃない。 小回りが効かないから、何台居ようが同時に攻める事なんか出来ないし、ボウガンなんか持って来たって、あれ両手使わなきゃ撃てんだろう。 両手離してスノーモービル運転出来たら奇跡だ。見た瞬間、こいつらバカかと思ったぞ。 案の定、1台づつ順番に向かって来たから、回し蹴り4回であっさりケリがついた。どうだ? 簡単だろう」
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