第二章 ворона (ヴァローナ/カラスの紋章)

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その者...... 名前を柊恵摩(ひいらぎエマ)と言う。 職業は探偵。 3年前、 自らが『EMA探偵事務所』を立ち上げ 今に至る。 構成員はエマを含めて4人。 決して、大きい! と言えるような 規模では無かった。 今回、 とある人物からの依頼で、 サハリン最北部の町に住む一人の少女を 日本に連れて帰ると言うのが彼女の任務。 その背景には 極東ロシアの広きに渡る 治安の悪化が大きく要因している。 北の一部の地域においては 正に内線状態。 彼女が思っている以上に  その任務は危険に満ちていた。 そんな任務を全うすべく 日本からはるばるこのサハリン に降り立ったエマはと言うと...... どこをどう見たって、 今時の普通女子と何ら変わりはない。 むしろ、そのものと言えた。 ところが...... ちょっとだけ普通と 違うところがある。 それは...... ツカツカツカ。 何やら背後から近付いてくる影が...... タッ、タッ、タッ! やがてその影は、 一気にその距離を縮めてくる! そして両手を伸ばすと、 その手はなんと、 エマのキャリーバッグに! 引ったくりだ! 「もらいっ!」 バキッ。 「うっ......」 バタンッ。 エマのノールックバックエルボーが 引ったくりの顔面に炸裂した瞬間だった。 一瞬にして 膝から崩れ落ちる引ったくり。 気付けば、 口から泡を吹き、 既に失神している。
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