第二章 ворона (ヴァローナ/カラスの紋章)

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「あいつらは組織の連中ダ。重大な任務が控えてるんダロウ。モメ事は避けた方がイイ」 血相を変えて エマの行動を諌める通訳だった。 只でさえ白い顔が 更に白くなっている。 するとエマの顔が 今、発した通訳のある言葉に対し 見事な反応を見せた。 「組織だと?」 「『ヴァローナ』......民族開放同盟ヴァローナだ。かなり過激な思想を持った危険な集団ダ。ダカラ止めとけ。 奴等は、日系ロシア人を目の敵にシテイル。あんたは日本人ダ。絡まれるマエニ立ち去ろう。サァ、早く!」 通訳はそのように諭しながら、 エマの手を強く引っ張った。 しかし、 エマはその場所から 視線を外す事は無かった。 気付けば 通訳の手を打ち払い、 路地裏へと 再び足が自然に動き始めている。 !!! 「チョット待てって! 北行きの列車ハ、後30分で出発ダ。乗らないつもりナノカ?」 突発的なエマの行動に 通訳は焦りの表情を隠し切れない。 「あたしは生まれた時から、弱いものイジメが大嫌いなんだ。 それと今『ヴァローナ』って言ったな。だったら尚更引けん。 列車は大丈夫。直ぐにケリつけるよ。よし......仕事だ。しっかり働け!」 「チョット...... 仕事ッテ。俺は何をすりゃイインダ?」 通訳は目を白黒させている。
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