第二章 ворона (ヴァローナ/カラスの紋章)

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「お前の仕事は通訳だろ。それ以外に何が有るってんだ? あとは全部あたしがやる。安心して付いて来い!」 微笑みながらそんな事を語るエマ。 見れば僅ながらに顔が紅潮している。 彼女の中では既に、 頭も身体もバトルモードに 変換されているのであろう。 「マジかよ......」 ボヤきながらも、 諦めの表情を浮かべる通訳だった。 「お前......名前なんだっけ?」 唐突な質問攻撃だ。 「サッキ言ったばかりダロウ......俺はミハイルだ。万が一、生きてたら次はそう呼んでクレ」 「ハッ、ハッ、ハッ。あたしもお前も死んだりはしないよ。 こんな事くらいで何ビビってんだ? しっかり通訳しろよ。頼んだぞ、ミハイル!」 「別にビビッて無いサ。とにかく10分で終らさないと、列車に乗り遅れるカラナ。それだけは肝に命じておいてクレ」 そんな会話を交わしながら、 勇躍、路地裏へと駆け込んでいく 二人の若武者達だった。
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