第十一章 MAD”Диана(マッド″ディアナ)

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気付けば女は 首に巻いていたスカーフを外し 銃弾を受けた 自分の左腕に巻いている。 その女の容姿と言えば、 黒い長髪に 横に吊り上がった黒縁メガネ。 年は25才位だろうか...... やはり東洋人に他ならなかった。 「どうして、私を助けたんだ?」 ディアナは 究明を始めた。 「あたしはただの通りすがり。左腕から血を流して追い掛けられてたから、ちょっと寄り道しただけ。大した意味は無いわ」 クールな顔して サラリと言ってのける。 「ただの通りすがり? そりゃ無いだろう」 ただの通りすがりが 見ず知らずの者の為に 5階建ての屋上から一緒にダイブするか? 確かに それは信じがたい事だった。 女はディアナの手に刻まれた カラスの紋章を見詰めながら 再び口を開く。 「『ヴァローナ』たる人が、丸腰で裏路地を歩くなんて......ちょっと油断し過ぎじゃない? しかも酒臭いしさ」 女はスカーフを縛りながら 思った事をそのまま伝えた。 なんと...... この『MAD″ディアナ』様に この女は説教垂れてやがる...... でも...... この女の言っている事は 決して間違っちゃいない。 油断していたのは事実だ。 それにしても...... 説教されたのなんて 何年振りだ? 『MAD″ディアナ』って 呼ばれるようになってから 初めてかも知れない...... 何なんだ、この不思議な気持ちは...... ドキドキして来た......
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