第十一章 MAD”Диана(マッド″ディアナ)

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『来る者は拒まず、去る者には死の洗礼を』 その事だけは、 肝に銘じておく必要がある。 何はともあれ、 二人は揃って『ヴァローナ』の入隊を ここに成し遂げた。 ポタッ、ポタッ...... 二人は意気揚々と 『アナディリ』の街を歩き抜けていく。 そして、 二人が歩いた後には...... 点々と血が垂れていた。 「ママ、あのお姉ちゃん......血が出てるよ」 母にそう語りながら 屈託の無い少女は その者の背中を指差した。 女性の背中から垂れ落ちる血は ズボンを伝い、 歩道に垂れ落ちている。 その女性とは...... ディアナで無く、 なんと、 ミーオだった。 くっ...... 傷が開いちゃったみたい...... 痛い...... 富士宮で受けた傷は そう簡単に塞がるものでは無かった。 そんな傷を背負って 屋上から飛び降りたのだ。 傷が開いてしまうのも 致し方ない。 「ミーオ、一体何でプラスチック爆弾なんて持ち歩いてんだ?」 「そんなの日本じゃ、小学生だって持ってるわよ」 「うそー......」 「冗談よ。ハッ、ハッ、ハッ......」 一切、 そんな素振りを見せず 高らかに笑い声を上げるミーオ。 エマさんも...... 圭一さんも...... ポール君も...... みんな必死に戦ってるんだ。 あたしだけ 格好悪いとこ見せられない...... 苦痛すらも 笑顔に変えてしまう美緒。 それは正に 女の執念だった。
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