第十二章 Красный снег(赤い雪/斬)

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「ここは......どこ?」 ベーリング海の水平線から 今、昇ったばかりの朝日が、 呆然と立ち尽くすその少女を 見事なまでに光り輝かせていた。 「眩しい......」 少女は、 細い腕で朝日を遮りながら、 ゆっくりと辺りを見渡してみる。 視線の先には、 雪に覆われた小さな家が 寂しげに立ち並んでいるだけだった。 この景色...... 見た事ある。 確か...... ネクラ...... そう、ネクラソフカ村だ。 『オハ』の隣り村...... だったはず。 なんで私、 こんな所に居るんだろう...... それに...... なんで私こんな高価な服着てるの? ネクラソフカ村の前に立つ 毛皮を纏った少女...... それは他でも無い。 ソフィアだった。 気付けば 左右のポケットの中には 大量の紙幣が ぎゅうぎゅうに押し込まれている。 数枚の紙幣は ポケットから溢れ出し 足元に散らばっていた。 見たところ、 最低でも100万ルーブル。 (日本円にして約200万円) なんでこんな大金...... 持ってるんだろう。 ソフィアは目を瞑り、 必死に昨晩の事を 思い出そうとした。
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