第二章 ворона (ヴァローナ/カラスの紋章)

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「お前達が誰かだって? 知ってるよ。ゴミ箱を漁るカラスだろ。 お前達がカラスなら、あたしはカラス避けネットだ。ハッ、ハッ、ハッ」 「なんだと......その顔はお前......日本人だな。絶対に許さん。切り刻んでやる!」 見ればエマは 刃物を持った大男達に すっかり囲まれていた。 エマに手首を捻られた男も いつの間に刃物を左手に持ち変え、 ファイティングポーズで 威嚇を始めている。 危機一髪...... エマに取って、 今、正にそんな状況であった事は 言うまでも無い。 すると...... カシャ。 「刃物を捨てろ」 なんと! 見れば、 ロシア人イケメン通訳のミハイルが リーダー格の男の頭に 銃を突き付けているでは無いか! それは 正に想定外の展開。 一番ビックリしているのは 他でも無い。エマだった。 んんっ?...... こいつ通訳の分際で 何トカレフ持ってんだ? エマは ただ目を丸くしている。 しかし、 銃を頭に突き付けられた男も 組織の構成員の長だけあって なかなか根性が据わっている。 自分の命が 危機に晒されていると言うのに、 余裕の笑みすら浮かべていた。 「撃てるもんなら撃ってみろ。『ヴァローナ』のメンバーに手を掛けたら、お前だけじゃ無い。家族全員が皆殺しになるぞ。 その覚悟があるなら撃てばいい。さぁ、早く撃てよ......お前にそんな度胸が有る訳がない。フッ、フッ、フッ」
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