第二章 ворона (ヴァローナ/カラスの紋章)

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正直、 エマの力を持ってすれば、 あの時ミハイルの助けなど無くても 簡単に窮地を乗り切れていただろう。 とは言え、 自分の命を守る為、 ミハイルが行動を起こしてくれた 事に関しては感謝の念が絶えない。 この二人、 まだ出合って1時間足らず。 でもやはり、 気が合っていた。 あくまでも 現時点での話ではあるが...... ............ ............ ............ エマは...... まだ 気付いていなかった。 この男...... さっきから ずっと 手袋を 外さないでいることを...... 列車に乗ってから 既に1時間が経過した今も それに変わりなかった。 まさか何か、 手に見られたく無い秘密でも 隠しているのだろうか...... ガタン、ゴトン...... ガタン、ゴトン...... 列車は、 闇夜を北へ北へと突き進んでいく。 やがて、 明日の朝には 目的地『オハ』の街に 到着している事だろう。 エマが今 救い出そうとしている少女。 その名は『MARA』 呪われた少女マーラだった......
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