第十四章 DeathWord(死の合言葉)

18/18
356人が本棚に入れています
本棚に追加
/2788ページ
「よし、実験は終わりだ。何やってんだ、早く行くぞ」 お尻に付いた埃を叩きながら 澄ました顔で労いの声を掛けるエマだった。 「あの......エマさん。それダケ?」 「それだけだ。どうかしたか?」 「顎が痛いんダケド......」 「冷やしとけ」 「......」 さっさとアレクに背を向け 歩き出すエマ。 遅れてはならじと それに続くアレク。 やがてエマは 二人のベッドの前で 足を止めた。 すると、 「二人を埋めてくぞ」 「オオ......意外と優しいんダナ」 「ああ......優しいさ。ダリアの死体がここで見付かったら、きっとあっちの『ダリア』が困るだろう」 ソフィアの顔を思い浮かべながら うっすらと笑みを浮かべるエマだった。 「ハァ? あっちの『ダリア』? なんダそりゃ」 「あっちの『ダリア』だ。さぁ、もたもたするな。穴掘るぞ」 その時、 エマの顔は 明らかに紅潮していた。 目は爛々と輝いている。 それはエマの頭の中で、 離れ離れになっていた点と点が 漸く線として繋がった事を示唆している。 この時、 エマは既に看破していた。 ソフィアとマーラの秘密...... そしてその切り替えスイッチ...... 更には ヴィクトルが『ダリア』に扮したソフィアを連れて 大陸に渡ったこと...... もっと更には...... ヴィクトルが義兄妹以上の感情を 『ダリア』(ソフィア)に抱いている事までも...... エマとアレクは 二人の亡骸を地に返すと、 すぐ様、港の船を拝借し 大陸へと渡って行った。 一日の遅れを 取り返す為に......
/2788ページ

最初のコメントを投稿しよう!