第三章 MIkhail(ミハイル/謎の通訳) 

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窓外に見える景色は、 真っ黒な闇に降り掛かる真っ白な雪のみ。 ガガガガガ...... 吹き付ける雪の大軍が 車両の窓を揺らし続けている。 全く...... こんな煩い所でよく眠れるもんだ...... すぐ近くの座席で 口を開けて熟睡しているサラリーマンが 羨ましく思えて仕方がない。 乗車率は30%前後と言うとこだろうか。 決して混んでると言う印象は無いが、 かと言って、ガラガラと言う訳でも無い。 「ミハイル......『ヴァローナ』に深い恨みでも有るのか?」 乗車して1時間。 そろそろ頃合いよしと、 エマが唐突に切り出した。 この異国の地に降り立った今、 とにかく必要なものは情報だ。 危険を回避し、 且つ マーラを救出する為には、 まだまだそれが不十分だった。 すると...... ウトウトし掛けていたミハイルは、 一瞬驚きの表情を浮かべるが、 直ぐに眠気を打ち払い 背筋を伸ばした。 「奴らの横暴振りは見ての通りダ。極東ロシアで恨みヲ持っていない人間などは居ナイ。俺が別に特別って訳じゃナイサ。 ソレヨリ......あんたハ日本じゃ凄いテロリストなんダロ。コレマデ何人も殺して来たって聞いたゾ」 ブハッ! それを聞いたエマは、 口に含んでいたペットボトルの緑茶を 思いっきり吐き出した。 放物線を描いた緑茶は すぐ近くで眠るサラリーマンの顔に直撃。 「ヤバッ!」 ところが、 寝返り打っただけで 目を覚ます事は無かった。 冷や汗ものだ。
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