355人が本棚に入れています
本棚に追加
/2788ページ
「これ......私、絶対に見た事ある」
目を大きく見開き
そのような解説を始めたソフィアは、
大自然の中にそびえ立つ
その人為的な建造物を指差してした。
「これって......もしかしてお墓?」
見れば、
目の前には大きな十字架が。
十字架の下には
こんもり土が盛られている。
勿論、
雪に覆い尽くされている訳ではあるが、
明らかに隆起し、小高い丘を形成していた。
十字架は思いの外、
大きかった。
高さにして
3メートルはあろうか。
そんな背丈だったとは言え、
時速50キロ強で暗闇を滑走する中、
よくその存在に気付いたものだ。
「多分墓ダロウ......これはロシア正教の十字架ダ」
追い付いて来たアレクが
解説を加えた。
さすが
ロシア国民だけの事はある。
「私......こんな所に来た事無いのに、この十字架は絶対に見た事があるんです。
雪に覆われた森の中、こんもりと隆起した地面、やはり間違いありません。写真とかでは無く、この目で見ています。本当に......不思議なんですが」
最初のコメントを投稿しよう!