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「はい。ヴィクトルさんが捕らえられた家は、ここからすぐの場所です。歩いても数分かと......」
ソフィアは
必死に逃げて来た道程を頭の中で辿った。
ついさっき通った場所だからと言って、
四方どこを見渡しても
雪に覆われた深い森のみ。
道標になるようなものは
皆無と言えた。
ザッ、ザッ、ザッ......
ザッ、ザッ、ザッ......
ソフィアの僅かな記憶を頼りに
一歩一歩前へ進んでいく三人。
やがて、
こんもりとした丘の向こうに
オレンジ色の光が
おぼろげに浮かび上がってくる。
「あっ、この先です!」
木々の隙間から見え隠れする
そんな灯りは、
見るからに動きを伴っていた。
それは
この丘の向こうの家の前で
複数の人間が動き回っている事を
示唆している。
三人は互いにアイコンタクトを取ると、
音を立てぬよう静かに丘を登って行った。
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