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「ん…まあそれはそうだけど…俺の事忘れてたわけじゃないだろ?ちゃんと覚えててくれたし、こうやって一緒にいることが出来てるってことは、お互い同じ気持ちだったってことだと思ってる。俺はずっと翔が好きだった。翔もだと思ってるんだけど…」
「そうだよ、忘れるなんて…出来なかった…毎日毎日洸の事考えてたよ。婆ちゃんが亡くなって…あの家に帰る途中、洸を見かけた…ドキドキして…苦しくて…ってどうしたの?」
目の前の洸は耳まで真っ赤にしながら僕を見つめている。
「翔、必死で可愛いなって、思ったら、ごめん!恥ずかしくなったり嬉しくなったり、忙しいわ、俺」
そう言って腿の間にポテンと顔を埋めた。
「翔、今の俺のこと、好き?」
くぐもった声で呟いたそれはなんだか不安げで、それは僕がさせているんだと、腹を割って話すって言ってくれたのは洸も不安だからなんだと気付いた。安心させてあげられるのは僕しかいない。
「好きだよ。今も昔も。大人になったって…洸が好きなことは変わってない。頬にキスしたあの親愛のしるしだって…この気持ちと同じだったんだろうなって…今はわかってる…疎くて、気がつけなくてごめん」
「…バレてたんか…俺の初恋だからな、翔は…」
洸の初恋…離れてから気付いたけど…僕だって洸が初恋の人なんだ。
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