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何故忘れたのかと問い詰められても仕方がないのに、感謝されることはどこにもない。
なのに抱きしめた洸は嬉しそうで、間近で視線を合わせチュっと音を立てキスをしてくれた。
「いいよ、思い出さなくても。翔の気持ちが本物だってわかったから。大人になって容姿も変わって、翔にがっかりされるんじゃないかって不安だったんだ。俺を受け入れてくれてありがとう。翔の初恋から、全部が俺って…最高だよ。大事にするよ、翔」
愛おしそうに啄ばむように唇を合わせ、深くなっていく。
僕だって…ずっと好きでいてくれてありがとう、洸。思うだけの日々より、こうやって洸に触れるなんて最高だよ。
その日を境に僕の気持ちは吹っ切れたように軽くなった。毎日とはいかないが会える日はどちらかの家に行き、同じ時間を過ごした。
初めて僕のマンションに来た時、ボードに置かれている洸の写真を見て飛び上がって喜んでいた。
その写真に毎日挨拶をしてたんだよって話せば「もう堪んない!可愛すぎる!」って襲われた。
洸の性格は大人になっても変わっていない。嬉しさは体で表わして笑わせてくれた。
「翔のばあさんの家さ、誰かに貸すの?」
そう聞かれて、そうだよって答えた。
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