戸惑い

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想いを言葉にする。張り裂けそうになっていた胸の痛みはさっきの辛さとはちがう。満たされた気持ちが張り裂けそうで溢れ出す。 ぶつかるように合わさった唇に歯に当たり刺さったような衝撃が走る。なのに追いかけて唇を離れていくのが怖くて…頭を浮かせ洸を求めた。 心臓が破裂そうな痛みを起こしても求めることをやめない。お互いに貪るように唇を合わせしたを絡ませ唾液を何度も飲み込んだ。荒々しく服を剥ぎ取られモタモタしながら洸の服を脱がす。息の上がった雄の顔を見せる洸が男らしくて、でも触れたくて確かめたくて肌を弄るように手を這わした。 こんな風に誰かと肌を合わすのは初めてなのに…相手が洸だと欲しくて…何もかもを忘れ理性も手放した。 最後の下着まで剥ぎ取られ、僕達は生まれたままの姿になる。同じ形を持つ身体なのにどうして胸が高鳴り求めてしまうのか。 洸が好きで堪らなく好きで自分の中に取り込みたい。1つになって混ざり合って溶けてしまいたい。もう離れないように離れられないように。 こんな時に僕は洸が欲しくて堪らないこの身体が、受け入れたいと思っていることに気が付いた。 「俺が抱いていい?どっちだっていいんだ。翔と1つになれるなら」 同じことを考えている洸の戸惑いと想いは痛いほどわかる。僕だって同じだと微笑んで見せる。 「…困ったことに…僕は…洸を迎えたいみたいだ…だ、抱いて…くれる?」 ああ、言葉は魔物だ。子宮もない僕の腹部が差し込むように軋んだ。その一瞬、瞳を合わせたまま痛みに顔をしかめる。 「翔、その顔、反則!!」 壁とベッドの隙間からローションが出てきたことに驚いたが、洸の必死に僕達の事を考えてくれていたのが伝わって瞳を閉じる。温められたローションを後孔に塗られてもたじろぐこともなく蕾を触れた指先に反応する身体の力を抜いて大きく息を吐いた。
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