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指先がゆっくり入ってくる感覚に身体に力がこもる。未知の経験にうるさいぐらいの動悸と目の前には必死で僕を傷つけないように手探りでぎこちない洸が汗を浮かび上がらせている。
繋がりたい。早く繋がりたいと僕の中を指が蠢く。その汗を拭おうと額に触れた。僕を見下ろしフッと笑みが溢れる。
「ねえ…洸…キス…して…」
きっと洸も初めてなんだと思う。髪を梳いてくれた指は震えているし、それにすごい汗だ。
降りてきた唇を迎えにいく僕の後頭部を支えてくれる。
男同士なのにこんなにも惹かれ合って相手を欲しいと思ってしまうのには理由なんて要らない。
理由なんて…考えていなかった。
肌が触れ合えば欲情する。そんな相手は洸しかいない。
「翔…痛くしたら…ごめん…男は初めてだし…」
離れた唇から溢れた言葉に耳を疑う。男は…って言った?それって女との経験はあるってこと?ざわざわと胸が騒ぐ。僕を待ってる間に女としたんだ…
嬉しさからの涙は悲しさに変わる。逃げていた自分が攻めることなんてできないことはわかっている。だけどこの身体を誰かが触って、この手が誰かに触れたんだと思うと堪らなく辛い。
嗚咽を漏らした僕の異変に気がついた洸は慌てた風で零れ落ちる涙にキスをする。
「痛いのか?翔?」
もう既に指が増え隠微な音を立てながら動き回る。その指先が掠めた部分から電流が走った。このまま流されてしまったほうがいいのかもしれない。洸を責めるなんてどのツラ下げてって感じだ。
「やっ!あんっんん!」
跳ねた身体を嬉しそうに洸は胸の突起に舌を這わす。腰骨の辺りに洸の起立したものが当たっている。僕で興奮してくれている。それだけで十分幸せなことなんだから。
燻るこの気持ちは僕の心の中で消化していかなきゃいけないんだ。これからは僕だけ…
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