ガラスの靴のプリンアラモード

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 性格はややきついところもあったが、救いの手を差し出してくれるのは大体姉だった。今の口調も優しかった。 「うん」  私はまた、仕方なく首肯した。その後の会話が続かなかない。 「ま、あの証券会社も色々あるからね。東京に出てみてわかったでしょ? 世の中甘いものばかりじゃないって事。都会で生きていくの結構、大変だって分かったでしょ? 家賃も高いし」  その言葉に、私は少し違うんじゃないかと思いながらも、頷いた。  それは、東京じゃなくたって地方で働くのだって、同じだ。田舎だろうが、都会だろうが世の中綺麗なものだけで、成り立っている訳じゃないから。  都会に住んでいる人が、田舎に住む事を憧れているけれど、きっとそれは田舎だったら嫌な事がないと錯覚に陥っているだけだ。  地方にだって田舎だって、仕事をして生活をして暮らしていると、都会での生活と同じ衝突が訪れる。  それに東京での生活は、学生時代は楽しかった。
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