ガラスの靴のプリンアラモード

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姉は多分それが分かっていないかもしれない。でも無職の私にはそれを言う権利はないと思い、心中でもやついた事は口に出さず、沈黙を貫いた。 「全くあんたってばさぁ」  始まった。姉の同情したかと思えば、少しじんわり不快に感じさせる説教が。私はそれを黙って聞く覚悟だった。そんな時だ。 「あら、あんた、何でいるの?」  母の声が背後で聞こえた。お化けでも見るようなそんな目で私を見る。でも無理もない。一年以上、故郷に帰って来ていないから。連絡もなしに帰ってきたのだから、驚いただろう。 「会社、首になったらしいの」  姉がボソリと、母に教えた。母は「えぇっ?」と、とても頓狂な声を出した。 「あんた、お金を取り扱う会社にいるから、お金にくらんで、横領でもしたかや?」
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