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バツの悪そうな表情で、彼女は語る。正社員として仕事人になる事は、目指していないのだろうか。いずれ派遣の仕事は、終わりがやって来る。
「そっか」
でもその事を聞く訳にはいかなかった。私も今、人の事を言える場合ではない。予備校の講師も、一応私の場合は、バイトという立場なのだから。
奇妙な空気の中、お互いに奇妙な笑いを浮かべた。彼女は今の所、意中の人もいないようで、恋愛に興味がないようだ。そこの所は私と一致した。
こんな二十四歳女子は、多分、今どき珍しいのかもしれない。自嘲的な笑みをついつい、浮かべてしまう。
「あたしたちって、似た者同士だったんだね」
唯香ちゃんは、ゆっくりとティカップに口をつけながら、苦笑いを浮かべる。それはそうかも、と同調してしまった。
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