信州そば粉のガレット

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 姉は少しだけ私に視線を転じただけで、調理をしているフライパンにすぐに視線を戻した。先ほどより匂いが美味しそうで、ついつい駆け寄ってしまった。 「何を作っているの?」 「ガレットよ」  姉は得意げに言う。 「ガレットかぁ」  苦虫を噛みつぶしたような顔をする私を見て、姉は「ははん」とクスッと笑った。 「別れた彼ときっと行った事があるのね?」  にやりと意味ありげに笑う姉を見て、私は反論出来なかった。だって事実だったから。  姉は確かに学生時代、自分で言っていたように学力は劣る所があったかもしれないが、こういう直感や勘の鋭さはピカイチだった。色々人間、得意分野があるものだ。  私はバツが悪くて項垂れ気味になってしまった。そんな中でもフライパンからは美味しそうな香ばしい香りが、誘惑するように漂う。
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