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「蕎麦といえばさ、信州だって蕎麦処じゃない? 当然そば粉もあるわ。信州らしくそば粉を使った料理を提供しようと思ってね。明日からメニューに取り入れてみようと思うの」
「そうなんだ! でもさ、きっとすっごい混むと思うよ」
私は苦笑いした。都内でもガレットを主に提供する店は、行列が出来ていることが多かった。私は東京でガレットを食べたのは、その元彼と食べたのが、最初で最後だったのだが。
「そうなんだ。じゃぁ、数量限定にしようかなぁ」
姉はそこまでは、考えていなかったらしい。
私の中では、ガレットは嫌な思い出のフードとして、刻まれていた。
「食べてみる?」
姉は出来上がったガレットを、白いシェル型のお皿に盛りながら言う。
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