ガラスの靴のプリンアラモード

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「違います!」  不躾な質問にムッとした。不快な気持ちをたっぷり込めて、否定した。自分の娘を何だと思っているのだろう。久しぶりに聞く信州弁もそんな質問だと、心に嫌な傷を刻む。  私の勤めていた会社は使えない人間は遠回しに、首を切られる。そんな世界だ。私は使えない人間だと、認定されたのだ。  また心が蝕んだ。  悲しさが限界を超える気がしたが、私は耐えた。涙をお茶と一緒に飲んだ。 「とにかくね、あんた、うちには置かないよ」  母の言葉は辛辣だった。 「えっ……」  私は内心青ざめたが、母らしい答えだった。何かとうちの両親は厳しかったから。高校生の時、こんな両親から離れたくて故郷を離れたのだから。そんな事を忘れていた自分を恥じた。
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