ガラスの靴のプリンアラモード

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 それなのに、今、職を失ったからって故郷に帰ってくるのは、確かに虫のいい話なのだ。肩は自然に、しぼんでいく。  母の言う事は最もだった。  私はスッと立ち上がった。 「分かりました。ごめんなさい」  私は物分かりの良い方だ。拒んだものに基本的に私はしがみつかない。  彼と別れた時もそうだった。  私はあっさりと、引き下がったのだ。彼としては私と別れるかどうか、迷っているようだったが、それなら私は別れた方が良いと思い黙って離れた。その私の態度に彼は、戸惑っていたようだが。  母は、あっさりと引き下がった私を、驚いた目で見た。 「夏帆、あんたどうする気?」 「だって、うちにおかないっていったの、お母さんだもの」  私は諦めた口調でいい、ボストンバッグを手に持ち、家を出た。  その一方で私は、帰る家を失ったのかな、なんて思った。
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