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「その顔は作った事があるのかな」  図星だった。というか、昨日作ったばかり。 「生地を寝かせるのを忘れたとか、油やバターを少量にしちゃったとかかな」  義兄の勘の鋭さには、叶わない。私は小さく「その通りです」と認めるしかなかった。 「まぁ、いいや、持って行ってくれるかな」  フライパンに蓋をし、暫くした後に取り出したガレット。茶色の上に目玉焼きが載っている組み合わせは、不味くないと言わんばかりに輝いた色をしていた。  私はそれを持ち、客席まで運ぶ。 「お待たせいたしました」  そう言って、頭を下げる。先ほどの彼女の顔が少し輝いた。待っていましたと、言わんばかりの良い顔をしている。
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