ガラスの靴のプリンアラモード

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 冬の信州の景色を見るのは、久しぶりだった。 (あぁ、松本……)  寒いというより痛いほど、空気は冷たいけれど、心は温かかった。  私は駅のホームで寒さに凍えながら、かき氷のような山の頂をジッと眺める。  松本の名所が次々と脳裏に浮かんだ。この町の主張はなんと言っても、国宝松本城。城跡は、国の史跡に指定されている。  江戸時代の城下町の商店街を彷彿させる、天守閣からは、北アルプスの山々が一望できる。お城の近くにある縄手通り。その通りのすぐ近くに、女鳥羽川が流れている。町の中にある川なのに、汚れておらず、済んだ色をしている。  梓川沿いの十九号線を走っていると、北アルプスの峯が連ねて見える。神秘的な光景が目を閉じても、いくつも浮かんだ。  高校生の時はこの町が嫌で仕方がなかった。学力が高かった私は、東京の大学へ進み、生まれ変わりたいと決めていた。『都会の女』になりたいと。  その念願がかない、東京の大学へ進学し、私は大学デビューを果たした。  アパレルショップでバイトをしたり、原宿や渋谷へ繰り出したり青春を満喫した。
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