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休息と今後03
他人の心配なんてしている場合ではなかった。
スキルは使いようだ。一見弱く見えても、使い方を工夫すればどんな真価を発揮するかわからない。
だけど、使いようもなにもそのスキル──〈神器〉すら持っていない俺は……。
俺は与えられた部屋のベットに体を投げ出した。
「はぁ…………」
1階は4部屋、2解から3階まではそれぞれ8部屋ある建物が、俺たちの宿泊する場所になる。
俺たちを召喚した場合に備えて新たに建築したらしい。
外観は東京駅を思わせる赤レンガ造りで、なかなかいい雰囲気だった。
1階には浴場がある。おまけにひとりひとつ、狭くない部屋が与えられているのだ。
この建物は2棟が並んで建っており、男子と女子で分かれている。
それぞれの建物の1階には玄関があり、ほかにふたつの建物の間にある大食堂へつながる廊下もある。
部屋決めは、みなが希望する部屋を指定し、被(かぶ)ればじゃんけんをして勝った者の部屋という感じで決めた。
〈スキル〉のない俺がまさかでしゃばるはずもなく、余った三階の端の部屋になった。
隣人は歌春(うたはる)だ。嬉しいような、構わないでほしいような……。
「…………」
あの後みんなに笑われて、軍服の連中からは不審な目で見られた。思い出すだけで胸が締め付けられる。
コンコン、とシックな色合いのドアからノックが聞こえる。
立ち上がってドアを開くと歌春が立っていた。
「あとでノックのやり方とか決めようぜ」
「そんなスパイ的なことする必要ある?」
「念のためだよ」
部屋に歌春を招き入れる。
ここは日本と同じく家内へは靴を脱いで上がるらしく、玄関には靴を脱ぐ場所があり下駄箱が備え付けられている。
歌春は靴を脱いで部屋に上がった。
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