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「松田くん、ちょっと梅村くん借りるね」
「いいよ。どうぞどうぞ」
「総務の赤城です。よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「書類をいくつかお願いしたくて。手が空いた時にお願い出来る?」
けっこうな量がある書類の束を受け取ると、素直に返事をした。
「はい、わかりました。早めに終わらせます」
クスッと笑って手を口元に添えた、赤城さんの笑顔が印象的だった。
「どうしたんです?」
「あ、ごめんね。久しぶりにわたしに敬語使う男の人が現れたから」
「そうなんですか?」
「ここの男性、同期の松田くん以外、みんなわたしより年上だから。みんなタメ口」
ということは、赤城さんは年上……敬語が必須。顔と特徴注意事項を頭にインプットした。
「じゃ、書類お願いします。お仕事頑張ってね!」
「ありがとうございます!」
それから、松田さんから会社の文化と、部署内のルールを説明してもらった。
社長以外は皆役職名で呼ばずに、名前で呼ぶ。昼御飯は、周囲に飲食店があまりないので、
ほとんどが弁当持参したり、買ってくるとのこと。これを聞いて弁当持参を決意した。ずっとやりたいと思ってたことがひとつ叶いそうだ。
そうこうしてると、久田さんがやってきて中断となった。
「松田、悪いがしばらく梅村借りるぞ」
「わかりました。あ、でも、ちゃんと返してくださいよ。やっと出来た大事な後輩なんですから」
松田さんには可愛がってもらえそうで一安心。久田さんは笑って答えた。
「わかってる。すぐに返す」
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