1-1 青天の霹靂

6/7
前へ
/622ページ
次へ
「別れよ」 週末、レストランでのディナーデート後に彼女はそう言った。出向のことを告げた途端に。 もちろん反応は決まっている。 「え、なんで?」  大きなため息をつきながらも、悪びれる様子もなく彼女は言った。 「テイのいい左遷でしょそれ。秘書なんか任されてすぐに帰れると思う?」 「左遷って。え、でも……」 「どう見ても、アウトでしょ。もう戻ってこれないでしょ? お互いのために、別れよ」  反論する気は失せた。 俺は何でこんな女が好きだったんだろう。一気に酔いも恋も冷めた。
/622ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加