運命の戦い

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「・・・・・・なんとも理解しがたい話だが、まあ、花子を信じるよ」 「じゃあ、いよいよちゃんと、戦わないとね」 「いやちょっとまってくれ、そうか、これから花子と戦わなきゃいけないのか。しかし花子に乱暴なんか俺はできないぞ」 「ああそれは大丈夫、先に説明しようと思ってたんだけど、戦いって言っても、論戦だから。相手を言い負かせばいいの。暴力はもちろんナシよ」 「なんだ、それならよかった。でも論戦って、何を論戦するんだ?」 「自分が代表している神様の方が、相手の神様より大事だってことを、相手に納得させた方が勝ちってことらしいよ」 「負けると何かペナルティがあるのか?負けたほうは現実世界へ帰れない、とか」 「神様は少し力を失うらしいね。私達は大丈夫。論戦の決着がつき次第、すぐに元の世界に帰れるって」 そのあと花子は、不適な顔を太郎に向けて、言い放った。 「でもこの論戦は、やるまでもなく私の勝ちね」 「?なんでそうなる?俺も口げんかならお前に負けたりしないぞ」 「だって、私が代表しているのは、【愛の神様】だもん。私なりに、愛って大事だってよくわかってるつもりよ。太郎っていう恋人もいるわけだし。でも太郎は、【iの神様】の代表でしょ。数学が苦手なあなたが、虚数の事を良くわかってるわけないし、それで論戦がまともに出来ると思ってるの?」 太郎は、正直もとの世界に帰れるのなら、論戦の勝ち負けには興味がなかったが、しかし自分の利害に少し思い当たるところがあって、真面目な顔で花子を諭した。 「おい、もしもだが、本当にお前が俺との間の愛を大事に思ってくれているのなら、今回の論戦は俺に勝ちを譲った方が、お前にとっても得だぞ」 「いや、恋人だからって、相手を哀れんで勝ちを譲るなんて、本当の愛じゃないよ」 「そんなくだらない話じゃない。いいか、【iの神様】は、もう今の時点でもうすごく力がないんだよ。教科書にもその記述があやふやになるくらいだ。だから、俺は実際に虚数の勉強がさっきまともに出来なくて困ったんだよ。でもその状態でも、テストはもっと前に印刷し終わってるんだから、虚数の問題が出るぞ。そうしたら俺は赤点まちがいなしで、お前とのデートの時間とか減るんだぞ」 「・・・・・・わかった、私の負けでいい」 花子が話がわかるやつでよかった。
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