あじさい

1/1
前へ
/1ページ
次へ

あじさい

例年よりも気温が低い日が続く。 夏至の今朝も、また梅雨空だ。 広げた傘の背中を見送って幾歳月。 庭先に瑞々しくあじさいが咲いている。 花の色が冷たい色だから、 花ことばが「冷酷」なんてね。 “美しく、冷たい、青。” 人の心を集め、一つの形をして、 そして、儚く枯れゆく様までも美しい。 そんなんじゃない、と言うかしら。 ただ花の呈した色だけを見ていても、 胸の内は、きっと見えないでしょう。 次に咲くときには何色か。 宵闇にあなたの藍色の心臓が、たくさんの涙を集めては、空へと返す花になる。 Hydrangea ハイドランジア あじさいは、雨を受ける 水の器。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加