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そしてちょうど十二歳くらいの時私の視力は悪くなりだし、母は私に早速メガネを買い与えた。
「最近はレトロなやつが流行っているのよね、ほらかわいい!」
その丸メガネの中のレンズは、今の最新技術ならばどんなに度が高くても昔のように分厚いレンズにならずにすむのに、あえて母親は「レトロ」に忠実にこだわりたかったらしい。
レンズの分厚さも旧来のまま、かくして私は牛乳瓶の底くらいの分厚さのレトロな眼鏡をかけることになった。
私は自分の姿が周りにどう見えているのか、最初はきちんと分かっていなかった。
両親は教育熱心で私にきちんと勉強はさせたため、成績だけはよかったし従順だったから先生にもかわいがられた。
後から考えれば私についている先生の後ろ盾が怖かったのか、小さいころは何も周りから害を受けることはなかった。
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