4.PTSD

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 何がごめんなんだろう。何も考えられずに父親の顔を久しぶりにまじまじと見る。 「辛かったら、VR授業の方にコース変換するか? お母さんには内緒で」  私は父親を見上げたまま、呆然と無意識に頷いていた。  今の時代、学校に色んな理由で通えなくなってしまった生徒のために、VR授業のコースがあるという噂は知っていた。  それならばクラスメイトともう顔を合わせなくてもいい。  それは知っていたけれど、VRコースは学力が通常の講義コースに比べて劣るというのが世間一般の認識だ。  教育熱心な両親がそれを許してくれるわけがないと思っていた私には、その父親の言葉は信じられないものだった。 「手続きはこっちでしておくから、明日学校に行ったら職員室の方に向かいなさい」  それから、と父親はズボンのポケットからデータメモリーのチップを取り出した。 「何、これ」 「僕の母さんの写真だよ。お前にあげよう」  本当にお前にはすまないことをした、母さんは心が幼いままなんだ――。  謎の言葉をつぶやき、静かに部屋から去っていく父親の背中を、私は今でも思い出す。
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