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完璧になれば、人に愛されると思った。
美しくあれば。
賢くあれば。
優しくあれば。
周りにとって居心地のよい、陽だまりのような存在であれば。
瀬尾は美しく、権力を持ち、世渡りの上手さという賢さを兼ね備えていた。そして、当時の私から見れば人に愛されているように見えた。
羨ましかった。そして自分を闇の中に突き落としたあの男が、憎くてならなかった。
それならば、私も美しくなってやろう。賢さも美しさも、そして瀬尾には欠けていた優しさも兼ね備えた完璧な人間となれば、きっと瀬尾みたいに、いやそれよりも人に愛される。あんな思いをしなくて済む。幸せになれる。そう思った。
ミドルスクールからの転身に成功し、ハイスクールに入学した途端、世界は私に優しくなった。
廊下ですれ違う人が向けてくる視線はくすくす笑いを含んだ視線でもなく好意のまなざしだったし、嘲りの言葉に机が埋め尽くされることもなく、代わりに私の机の周りには勉強を教えてほしいと人がよく集まった。
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