4.PTSD

10/15
前へ
/230ページ
次へ
 やっと理想の生活を送っていけていると思っていた矢先、悪魔が私の前に4年ぶりに姿を現した。 毎日が黒く塗り潰されていく気がして、瀬尾が私の昔の話をして私の周りから人がまた消えていく、それが起こるのは今日か明日かとおびえながら毎日大学へ通う。  もはやあの雨の日の東屋とそこにいる人だけが、そうした状況からぽっかりと切り離されて浮かんだ、私の心の拠り所だった。  今日は雨だ。やっと行ける。  数週間ぶりに心の底がちょっとふわっと軽くなる。  今日もあの人はいるだろうか。まずは何から話そうか。  そう浮き足立つ気持ちで、ポータブル端末でいつもの仲間に連絡する。  「ごめん、今日体調ちょっと悪いから離れて座るね」
/230ページ

最初のコメントを投稿しよう!

54人が本棚に入れています
本棚に追加