逃がさないよ?

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逃がさないよ?

翌朝会社に行くと、俺のデスクの下に目立たないように紙袋が置かれていた。 すぐお礼を言いたいが、人目をひきたくないのも分かるので、我慢する。 昼休みが楽しみすぎて、仕事がどんどんはかどってしまった。 食堂で弁当を堪能し始めると、同期の沼田が隣に座った。 「和泉、久し振り。 お?弁当か、女か? あー、茶色いな、お母んが来てるのか?」 「ほっとけ。やらんぞ。」 「茶色いけど、旨そうだな。 レンコン、くれ。」 「だから、やらんってば! お前の日替わり定食にもレンコンあるだろう。」 「こんな、ペラペラじゃ食べた気がしない!大好物なんだぞ、レンコン!!」 「知るか!俺だって好きだ!!」 周りの冷たい視線や、女共の熱い視線をものともせず、同期との攻防戦は、とても楽しかった。 レンコン好きと噂が立ち、レンコンの惣菜を持った女が列を成す日がきて、断るのにウンザリするのは又、別の話だが。 俺はレンコンが大好物な訳じやない! 珠実の作ったご飯が大好物なんだ!!
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