逃がさないよ?

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「ね、珠実、ご飯食べさせて?」 人目の無い場所になると、必ず囁いた。 会社のエレベーターの中、会議が終わって彼女が片付けにやってきてすれ違った瞬間、残業中の事務室など。 「嫌です。 駄目です。 他、当たって下さい。」 「珠実、もう、珠実のご飯しか食べたくない。 責任取って?」 「私は食堂のおばちゃんでも、あなたのお母さんでもないんです! もう、話しかけないで下さい!!」 「珠実はおばちゃんじゃないし、母親でもないよ?」 「あっち行って下さい!」 頑なに心を閉ざしてくる。 これはやっぱり、プロポーズするべきか? もっと分かり合えてからにしたかったが、みすみす逃がす気はないので、先に捕らえてしまおうか。 俺はプロポーズする事にした。 流石に会社ではしないが。
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