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ピンポンを押すと、ドアチェーンをしたまま、彼女が顔を覗かせた。
「又ですか。
今日は食材、受け取りませんよ。
お帰り下さい。」
残念ながら、今日は食材では無かった。
俺は後ろ手に隠していた花束を、彼女の目の前に出す。
「秋野珠実さん、好きです。
俺と結婚して下さい!」
「は、、、?
冗談?嫌がらせ?ドッキリ企画?」
「全部ハズレ。
珠実、愛してる。
俺の嫁になって?」
「な、なに言ってるんですか!
そんな言葉、信じられません!
私の事、何も知らないくせに!!」
「うん。
知らない事もあるけど、知ってる事もあるよ。
玄関の前だけど、語っても良い?」
「駄目です!
仕方無いですから、上がって下さい。
でも、すぐに帰ってくださいね!」
初めて玄関から先に進めた。
見渡せばベッドや流しも見える狭い部屋で床に正座する。
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