149人が本棚に入れています
本棚に追加
ーー和泉先輩、今度、私の手料理食べて欲しいなぁ♪ーー
しなだれかかってきて、そう囁く女は何人もいた。
ーー何作ってくれるのかな?ーー
ーー肉じゃが得意なんですよ♪ーー
男は肉じゃがで落とせ、みたいな伝説信じてるんだろうな、この女。
ーーパスタにしましょうか?ーー
はぁ、俺はそんなの食べたくないって気づいてないんだろうな、この女。
まあ、会社の飲み会で隣に座っただけの 女だから、適当にあしらって帰るとするか。
俺は和泉茂輝、28歳。
自分で言うのも何だが、身長もあり、顔も甘いマスクと言われ続け、仕事も将来有望株とあって、モテる。
幼稚園の頃から女の子が寄ってくる。
そう、うんざりする程に。
適当に付き合い、別れてを繰り返してきたが、最近は飽き飽きしてきた。
結婚したいと思えるような女はただの一人も居なかったのだ。
一生、独り者でもいいか、なんて諦めの境地にたっている。
まあ、その内、上司が縁談を勧めてきて断り切れずに結婚、って事になっていそうだが。
夢も希望も無いな、俺の結婚。
最初のコメントを投稿しよう!