目覚めてみれば

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「帝国の始まりを再現……それは魔術師による武力革命ということか?」  帝国の在る広大な平地は、古代より「天の眼にかなった者が王になる」という王権神授説的な考えがあった。  一方長く続く王家は必ずといっていいほど腐敗し、滅亡の途をたどる。そのことを民はこう解した。  「天は次の王をお選びになったのだ」、と。  王権のリレーには二つの方法があった。すなわち、禅譲と革命であった。禅譲とは心ある王が自らの過ちを認め後継にその座を譲ること。そしてーー。 「ああ。この地の王権は国が廃れてきたころに革新される。さながら、すべての不吉を古い王家の責任にして……おっと」  回診の医術師が来た。二人の密談は、しばしお預けとなった。
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