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「まだある、ラカル……」
「もういい」
ラカルはユダが矢継ぎ早に差し出す言葉を遮った。
「お前はいつだって無茶をする! 危険も省みず、白い目で見られることも厭わずに」
「悪いか? 正義のためだ」
「……そうか。なら話の続きを聞く前に聴いておきたい。今回の件における、貴様の正義とはなんだ」
ラカルはユダとかつて親友だった。そのユダが妙な組織に入ってからは距離を置いたが、彼のことを完全に無価値だと思ったわけではなかった。
「正義とやらのために、友人が孤立していくのは見たくない」
「……」
世間体のために、ユダと疎遠になってしまったことをラカルは悔いていた。だからこそ、語気を荒げる。
「ラカル、すまない」
ユダは不意に目を逸らす。そしてゆっくり目を閉じた。
「お前の気持ちに、気づいていないわけではなかった」
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