266人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
ちゃんと話は聞いているつもりだったけど、私はまだまだ大人の会話というものが分かっていなかったみたい。
どうも彼は、要所要所で私の事をさり気なく探っていたらしく、私が気付かずに何でも答えるから美優は気が気じゃなくなっていたらしい。
「言ってくれればよかったのに」
「そんな隙を与えないから、あの人には気をつけなって言ってるの」
「うん?」
もう少し突っ込んだ話も、今回のお詫びランチに至った経緯も、美優にこれでもかと話したかった。
何だか今日は仕事の話をこれ以上してはいけない気がして、彼らの話題を出す勇気が出ないまま、窓の外に広がる美しい日本庭園が、オレンジ色に染まり、それでも時間を忘れてしまうほどに他愛ない会話に花を咲かせた。
すっかり今日のランチも忘れて、あたかも朝から2人で遊んでいた、そんな気持ちにいつの間にか、すり変わってしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!