265人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ
「やっぱり優姫は笑顔がいちばんだよ」
「え?」
「だってずーっと苦しそうな顔してたよ」
そう言って私の顔真似をしてみせるから、恥ずかしくなって思わず彼女の肩を叩いてしまった。
「あ、ごめん」
「え?」
「痛かった?」
「こんなの痛くも痒くもないよ!」
コノヤローと今度は私が美優に頬をつねられてしまって、痛いとつぶやくとまた笑われてしまった。
そのまま2人とも何も話さなくなって、風の音と木の葉が触れ合って響く静かな音色。
飛んできたり飛んで行ったりする水鳥が跳ねる水の音。
どんな癒しの音楽より癒される静かな音色に、私の耳と心はゆっくりと落ちていく。
それは辛く苦しい場所へではなくて、冷静に優しく私の心を包み込んでくれるような感覚で、何も特別なことはしていないのに落ち着きすぎてまた私は泣いてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!