0人が本棚に入れています
本棚に追加
私は振られたショックと意中の相手に大声を出してしまったことへのショックというダブルショックで立ち直れないでいた。
「まぁー、その、あれだ。今回は縁が無かったということで、元気出せよ」
「ううっ……私の今生にやってくるかどうか分からない一世一代の告白なんだぞ。元気でない。無理」
胡比の不器用な慰め方に元気が回復するわけでもなく、私の気持ちはどんよーりとしていた。
「じゃあ、帰りにタピオカミルクティー奢ってやるから、元気出せ」
胡比の言葉に私はすっと顔を上げた。
「よし、元気出たぞ! 行こう。今すぐ行こう」
「お前、そういうところ本当に虫がいいよな」
瞬時に元気を取り戻した私に胡比は頭を抱えた。
「じゃあ、行くか」
胡比は荷物を持って立ち上がる。
「うん!」
私も目に浮かべていた涙をゴシゴシとふき取って帰る支度を整える。
靴箱へと向かう道中。曲がり角の先で先輩の声が聴こえた気がして立ち止まる。
ちらっと向こうの様子を伺うと、其処には先輩の姿が見えた。
しかも、楽しそうに女子生徒と笑っているのだ。
『ねぇー、さっきまで呼び出されたって言ってたけど、もしかして女子から告白でもされてたのぉ?』
『そうなんだよー。もちろん断ったよ。君の好意はありがたいのだけど、俺、受験生だし今はそういう気分にはなれないんだよーってね』
最初のコメントを投稿しよう!