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「この札は、私の霊力がこもった不呪詛符です。肌身離さず持っていてください」
「き、君はいったい何者なんだ……?」
「私ですか? 中学生ですけれど。あと、陰陽師やってます」
少女はそう言うと、スタスタと選挙カーのドアまで歩いて車を降りようとした。しかし、降りる途中でピタリと止まり、
「一つだけ、あなたに聞きたいことがあります」
と、首相に言った。首相は何事だろうと唾をごくりと飲み込み、その不思議な少女の問いを待った。
「ハチ公の銅像って、どこですか?」
緑なす美しい黒髪を揺らしながら、少女は穏やかな笑顔で小首を傾げるのであった。
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