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美恵と女の子がそんなやりとりをしているのを晴久と紗枝子はぼう然と見ていた。
女の子はわんわん泣き出すと、頭から白い獣の耳、お尻からこれまた真っ白なふさふさの尻尾を生やしたのである。
(不思議な子だとは思っていたけれど、土御門家に代々仕える白狐の一族の娘だったのか)
幸い、ハチ公前の人々は総理大臣の演説に集中していて、狐の耳と尻尾を生やした女の子に気づいていない。口をあんぐり開けて狐の少女を凝視している紗枝子をのぞいては。
(さて、困ったな。どうやって誤魔化そう……)
口下手な晴久は頭を抱えるのであった。
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