再会・その2

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 晴久が口ごもりながら何とかして紗枝子を誤魔化そうとしたのに、 「この子は、(ゆめ)()。私の陰陽師の仕事をサポートしてくれる狐の女の子なの。さっきは驚かせてごめんね。ユメはまだ子どもだから、ビックリしたり泣いたりすると、変身が半分解けちゃうのよ」  美恵がペラペラと喋り、紗枝子はさらに口をあんぐりとさせて驚いていた。 「ね、姉ちゃん。いいのかよ、うちの家の秘密を簡単に話しちゃって」  晴久が美恵の耳に口を寄せてひそひそと言うと、美恵は「いいのよ」と笑った。 「さっき、ハルが紹介してくれたじゃない。平野紗枝子さんは、今、街頭演説をしている総理大臣の娘さんだって。私、ついさっき、総理大臣とは知らずに紗枝子さんのお父さんを助けたの。何者かに蛇の呪いをかけられていたから、呪詛(じゅそ)から身を守る不呪詛符(ふじゅそふ)を渡しておいたけれど、総理大臣に呪いをかけている人間に凄腕の陰陽師や呪詛で商売をしている人間が味方についていたら、あんな気休めは簡単に破られちゃうからね。だから、また呪詛で総理が苦しむことになった時のために、紗枝子さんに私のことを知っておいてもらったほうがいいと考えたのよ」  そう説明すると、美恵は紗枝子に一枚の名刺を渡した。白い狐の可愛らしいイラストがプリントされていて、   陰陽師 土御門美恵   占い・祟り・妖怪の悪事・怪奇現象、何でも相談に乗ります。   ただし、人を呪う仕事は受け付けていません。  そう書いてあった。
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