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「お前、知らないのか?お前だって長らく人から恐れられているだろ?ウチの国以外でもそれは同じだ。モンスター……魔種は強いから人間から恐れられている。ところがそういう魔種と仲良くしようと唱えて、多くの魔種と本当に仲良くなった。そういう変わり者の王子だったそうだ」
カルケードの変わり者の王子の話をする、ラスがご機嫌な様子に気がついて俺は笑う。
「お前、その王子の真似がしたいんだろう?」
「……いや、だから……」
「その王子が好きなんだな?」
そうだ、俺はカルケードのあの王子が羨ましいと素直に、ラスは白状した。
「羨ましいのと好きなのは違うだろう」
俺は長い首を揺らしながら言った。するとラスも同意して笑う。
「それはそうだ、俺は……どうしたってお前と仲良くは出来そうにない。お前は俺の国の邪魔者だ。お前をどうにかしたいと思っているが、その為にカルケードの王子のように『仲良く』だなんて選択肢は考えられそうにない。俺には……それは無理だ。だから羨ましい」
「必死に俺を倒すために強い戦士、連れてくるもんな」
「なぁ、いい加減ウチに居座るの止めろよ」
ラスの訴えは結構直球だ。俺は鼻息を噴き出して王子の訴えを笑う。
「何を言う、お前らが俺の庭に国を作ったんだろ?俺はずっとずっと昔からここに住んでいるんだからな」
そんな俺と『平穏』に共存するために、人間たちは俺と約束を交わしたんだろ?
互いの『平穏』を守るために、互いに義務と権利が生まれたわけじゃないか。
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